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2017年08月23日 16:26
Category:06.多文化共生

「やさしい日本語」とは~第2弾~

 日本に住む外国人に、地震など災害時などいち早く情報を伝える言葉として「やさしい日本語」の重要性が注目を集めています。在留外国人が200万人を超え、2020年の東京オリンピックを控え、国際交流が急激に進む日本。多国籍でなかには英語が話せない外国人も多い。「やさしい日本語」は、小学生2・3年生で習うくらいの日本語。「漢字にルビをふる」「分かち書きにする」「一文を短くする」などです。

 阪神・淡路大震災後に最初に考え出された弘前大学、その後、公表された愛知県、島根県と、160カ国・8万人以上の外国人が暮らす国際都市・横浜市の「やさしい日本語」を4回に分けて紹介します。

 

「“タカダイ”って何? “ヒナン”って何?」

 

 東日本大震災当時、被災地となった東北地方(岩手県・宮城県・福島県)には、160カ国以上、約3万人の外国籍住民が暮らしていました。津波で同胞を失った外国人の中には、「『高いところに逃げて』と言われれば助かったかもしれない」と言う人もいます。今回は、スマートフォン用アプリの開発も行った愛知県の『やさしい日本語の手引き』から、その作り方の流れとポイントをまとめてみました。


 
【津波被害を受けた石巻市内】
 

 手引きでは、普段、私たちが使っている言葉や文章を、外国人に伝わる「やさしい日本語」に置き換える11のポイントを紹介しています。

 はじめに、①数ある情報の中から必要なものを取捨選択する。

《文章レベル》②できるだけ余分な情報をカットする。③伝えたいことを前に持ってくる。④必要に応じて補足情報を加える。

《文レベル》⑤一文中で、一つの情報提供に留める。⑥一文を短くする。⑦主語と述語を明確にする。

《単語レベル》⑧難しい言葉を易しい言葉に置き換える。(例)漢語・カタカナ語→和語/ 専門用語→日常語/敬語・俗語・若者言葉・慣用句→普通語/方言→標準語/複数の意味を持つ言葉→1つの意味しか持たない言葉/抽象的な言葉→具体例を示す/略語→元の言葉/曖昧な表現・擬音語・擬態語→できるだけ使わない。

《体裁を整える》⑨「分かち書き」にする。⑩漢字には、すべてルビをふる。⑪必要に応じて、写真やイラストをつける。

 
【陸前高田市役所玄関】

 「普通の日本語」「やさしい日本語」への変換例を、いくつか紹介します。

・「危険」➡「危ない」(漢語➡和語)/「セルフサービス」➡「自分でする」(カタカナ語➡和語)

・「大雨警報が出ています。」➡「雨がたくさん降ります。気をつけてください。」(専門用語を含んだ文)

・ 「ご本人様確認ができる物をお持ちですか?」➡「在留カードや車の免許証がありますか?」(具体例をあげる)


 
【津波で破砕した救急車両】

 手引きでは―「やさしい日本語」は、外国人はもちろん、小さな子どもや高齢者、障害をもった人など、いろいろな人に配慮したコミュニケーション方法の一つです。「やさしい日本語」には、こう言えば必ず理解できる、という決まった答えはありません。どんなに工夫しても、相手に伝わらなければそれは本当の意味での「やさしい日本語」とは言えません。

 

 たとえば、中国から来た人には、ひらがなで書くより漢字で書いた方が伝わるかもしれません。一方、アメリカから来た人には、ローマ字で書いたほうが伝わるかもしれません。何が「やさしい」のかは、相手によって違います。相手のことを考えて、いろいろ試しながら、お互いコミュニケーションがとれる方法を見つけてください。大事なのは、ちょっとした工夫と、相手を思いやる「やさしい心」です。―と結んでいます。

 

【*写真は、「災害写真データベース」東日本大震災より引用】
【*愛知県http://www.pref.aichi.jp/kokusai/easyjapanese/tebiki.pdf

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