2017年09月06日 08:37
Category:06.多文化共生

「やさしい日本語」とは~第4弾~

 日本に住む外国人に、地震など災害時などいち早く情報を伝える言葉として「やさしい日本語」の重要性が注目を集めています。在留外国人が200万人を超え、2020年の東京オリンピックを控え、国際交流が急激に進む日本。

 多国籍でなかには英語が話せない外国人も多い。「やさしい日本語」は、小学生2・3年生で習うくらいの日本語。「漢字にルビをふる」「分かち書きにする」「一文を短くする」などです。

 阪神・淡路大震災後に最初に考え出された弘前大学、その後、公表された愛知県、島根県と、160カ国・8万人以上の外国人が暮らす国際都市・横浜市の「やさしい日本語」を4回に分けて紹介します。

 

 横浜市「やさしい日本語」 

 

 国際都市・横浜市は、約160以上の国と地域から8万6千人を超える外国人が暮らしている。このため、平成22年度に「多言語広報指針」を定め、外国人に情報発信を行う時は7言語(英語、中国語(簡体字・繁体字)、ハングル、スペイン語、ポルトガル語、やさしい日本語)で行うこととしています。

 「多言語広報指針」で定める外国語6言語以外を母語とする外国人には「やさしい日本語」での情報発信を行うことが有効であるとし、「やさしい日本語」の基準を作成しました。

【横浜市】

 横浜市では「やさしい日本語」について、どうしたら外国⼈住⺠にわかりやすく伝えることができるかを考えて、『分かりやすい日本語へのい換え +文章組み立て方を大きく見直す/必要な情報を追加』という作成の基準を設けています。このため、外国語へ訳しやすくなります。

 例えば、⽇本語から英語に訳すときは、⽂法を整理してから 訳した⽅が分かりやすくなります。⽇本語の⽂法が難しいと、英語にうまく訳すことができません。だから機械翻訳は、⾃分が思った訳とは、違った訳になってしまうときがあります。

 やさしい⽇本語は、主語を補います。また、使う⽂法も少ないです。だからやさしい⽇本語から、外国語への訳は分かりやすくなります。また、⽇本語を学ぶときにも、「やさしい⽇本語」は役に⽴ちます。

【阪神・淡路大震災の被災現場】

 

 横浜市は、今年4月に『やさしい日本語』冊子(第4班)を発行しました。

 初版では、「やさしい日本語」の基本的な考え方と文法についてまとめました。第2版から、行政がよく用いる言葉について、「やさしい日本語」で語釈をつけました。

 第3版では第2版の「戸籍」と「子育て」に加え、「福祉」「税金」「保険と年金」「防災」「ごみ」に関する分野。第4版では「マイナンバー」「交通・道路」などに関する分野で、よく用いられる語を掲載しました。

 

【横浜市の「やさしい日本語」冊子】

 

 この冊⼦は、外国⼈住⺠の中でも、⽇本語を学び始めた⼈に、分かりやすく伝えるために作られています。しかし、同市の「やさしい⽇本語」を読むためには、いくつか⽂法と語彙を、知っている必要があります。その⽇本語能⼒は以下のようなものです。

語彙】⽇本語能⼒試験 N4(旧3 級)程度 (約1,500 語)

⽂法】 N4 よりも 簡単な⽂法

 

 N4 とは、⽇本語能⼒試験の認定レベルの1 つです。認定レベルN4 になる⼈は、「基本的な語彙や漢字を使って、書かれた⽇常⽣活の中でも、⾝近な話題の⽂章を、読んで理解することができる」くらいの⽇本語能⼒を 持った⼈です。つまり N4 の⼈は、ある程度の⽇本語能⼒がある、と⾔うことができます。

 

 N4 レベルになるには、たくさん勉強の時間が 必要です。旧試験の3級(N4とだいたい 同じレベル)には、約300 時間の学習が 必要とされています。仕事や家事をしながら 300 時間、勉強するのは 難しいです。だから、同市の「やさしい⽇本語」を 読むためには N4 よりも 少し簡単な⽂法が 分かる必要があります。

 

 また、そうしたことから 同冊子では、日本語学習者が 「やさしい⽇本語」を読むことで、継続して ⽇本語理解を 深めていくことができる、ということも説いています。

 

【*災害写真は、「災害写真データベース」より。他は横浜市のHPより】

【*横浜市「やさしい日本語」http://www.city.yokohama.lg.jp/lang/ej/kijun.html