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自転車で世界一周!!坂本達さんの異文化経験から学ぶ多文化共生セミナー
『自転車で世界一周!!坂本達さんの異文化経験から学ぶ多文化共生セミナー』が10月29日(日)、佐賀商工ビル7階の大会議室で開かれました。100人を超える方が参加され、ユーモアを交えた坂本さんの自転車の旅についての軽妙な話が共感を呼びました。外国で出会った人々との交流、そして、ギニアでの恩返しの井戸掘りや診療所づくりなど。2015年からは、妻と2人の子供を加えた家族4人で、「坂本家6大陸大冒険」の自転車の旅の途中だ。
【ギニアの村で】
坂本さんは早大卒業後、 ㈱ミキハウスに入社。自転車で世界一周するという、小学生の時からの夢の実現には1千万円が必要なため、入社後も貧乏生活を続け、睡眠時間を削って夢を叶えるための準備をしていた。自社の社長にもレポートを出し続けた。後は会社を辞めていくしかないと思い、スポンサーを作るために、世界一周する時に必要なものと関連する30社の会社の社長宛に企画書を送った。
意外なことに、そのうち、なんと20社から承諾をいただいた。その実績(じっせき)を見て「坂本は本気なんだ」と、自社の社長も応援してくれた。4年3カ月の有給休暇をくれて、「行って来い。ボーナスも出すし、定期昇給もする」と。
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そして、自転車に40キロの荷物を積んで1995年9月にロンドンを出発し、現地のさまざまな人々に助けられながら、4年3カ月をかけ、欧州からアフリカ、中東、アジア、北米、南米と渡って、99年12月にエクアドルで43か国、5,5000キロ(地球の円周約4万キロ)の世界一周の旅を終えた。
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坂本さんは、父親の仕事の関係で7歳から11歳までフランスで暮らし、世界最高峰のツール・ド・フランスを見て自転車の虜に。小学5年生の時帰国したが、苛(いじ)めに遭(あ)った時に父親から世界地図を見ながら、「学校はつまらないかもしれないけど、それが一生続くわけじゃない。世界には色んな人たちがいて、いろんな考えがあるから、お前のことを受け入れてくれる人が絶対どこかにいる」と言われ、その時、純粋に世界を意識した、と振り返る。
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【村長が貴重な食材である、ニワトリを差し入れてくれた写真】
かねてからの夢だった自転車世界一周の旅に出かけた坂本さんだが、その途中のアフリカ・ギニア共和国の小さな村でマラリアと赤痢を併発し40度の高熱が出て死線を彷徨(さまよ)う。彼の命を救ったのは、貧困にあえぐ村にたった6本だけ残っていた注射薬。その貴重な薬は、わずか3日前に知り合ったばかりの医師・シェリフさんによって投与されたものだった。
異国の地での決して裕福ではない人たちの思いやりと想像をはるかに越えた優しさに直面した坂本さんは、そのとき強烈な衝撃を受け泣いた。「人は一人で生きているのではない。人に生かされているのだ」と教えられたという。
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一命を取りとめた後、自転車での旅を再開。世界一周を成し遂げた坂本氏は、7年後に恩返しのプロジェクトに取り組みはじめる。それは、深刻な水不足に苦しんでいた村での井戸作り。ギニアの親友や村人と協力し、300人のギニア人とともに約2年がかりで深さ20mの井戸を完成させた。
過去に4度の設置計画がありながら一度も実現しなかったドンゴル村で、何度も日本から訪問して話し合いを続け、現地の言葉を覚え、現地の食事を現地の作法でいただき、現地の人といっしょにお祈りすることで多くの人の協力をえられた、と語る。また、村の水管理委員会を作り、井戸を使用する家族(約200人)が毎週少しずつお金を積み立てることで、修理やパーツ代を賄(まかな)うことも決まった。こうして、現地のやり方でゆっくりと進めたプロジェクトは、やがて現地の人たちに笑顔をもたらしたのだった。
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【講演する坂本 達さん】
講演では、旅先での体験として、カメルーンの村で、これまで、どの外国人も食べなかったという蛾の幼虫のぶっかけ飯を提供された。達さんは思い切って、飲み込んだ。途端に、笑顔で「お前は仲間だ」と村人に受け入れてもらえた。そして、パキスタンでは、「チャイでも飲んでいかないか」と勧められ、旅人達からその国の話を聞くことで、「自分たちも世界一周をしているよ」と言われ、衝撃を受けた。また、中東のマシャドでは、イスラム教のモスクで誘われて共に祈ると、「一緒に祈ってくれてありがとう」と微笑んでくれた。
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坂本達さんからの三つのメッセージ(世界一周の旅を終え、坂本達さんが大切にしていること)
1)自分から「あいさつ」。2)「ありがとう」を伝える。3)「自分の持ち味」を活(い)かす。
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2回目の世界一周は、2015年(単独世界一周の20年後)にスタートし、家族4人で夏休みなどを利用して最長で8年かけて6大陸を自転車で巡る「坂本家6大陸大冒険」である。第1ステージ(ニュージーランドを3カ月)、第2ステージ(スペイン、ポルトガル、スイスを3カ月)、第3ステージ(カナダ、アラスカを3カ月)まで終えた。長男の健太郎君(6歳)と次男の康二郎君(4歳)の自転車の旅は、写真やビデオで観ていても、とても伸び伸びしている。外国で出会う人々と、言葉は通じなくても、自転車という共通言語で楽しく国際交流している。
【質問に答える坂本氏】
*写真は一部、坂本達氏のホームページから引用しました。
坂本 達氏の公式ホームページ(http://tatsuoffice.com/)