2017年12月18日 15:48
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これからのSDGs~佐賀のNGOも頑張っている~

 

 グローバル経済の時代を迎え、国連は2015年9月の総会で「持続可能な開発目標」、通称SDGs(エスディジーズ)=SUSTAINABLE  DEVELOPMENT GOALS=を採択した。国連参加193カ国が2016年~2030年の15年間で世界を変えるために達成すべき17の共通目標を掲げている。

 17の目標は、①貧困の撲滅 ②飢餓をゼロに ③すべての人に健康と福祉を ④質の高い教育をみんなに ⑤ジェンダー平等の実現 ⑥安全な水とトイレを世界中に ⑦エネルギーをみんなに、そしてクリーンに ⑧働きがいも、経済成長も ⑨産業と技術革新の基盤を ⑩人や国の不平等をなくそう ⑪住み続けられるまちづくりを ⑫つくる責任 つかう責任 ⑬気候変動に具体的な対策を ⑭海の豊かさを守ろう ⑮陸の豊かさも守ろう ⑯平和と公正をすべての人に ⑰パートナーシップで目標を達成しよう。

 

 

 佐賀で活動するNGO12団体で構成する佐賀NGOネットワーク(代表世話人:大野博之・佐賀大学客員教授)は2018年度に、自治体や大学、企業と連携し、佐賀におけるSDGsの推進を企画している。

 メンバーのひとつ佐賀県ユニセフ協会は、子どもの福祉に関わる1(貧困)、2(飢餓)、3(保健)、4(教育)、5(ジェンダー)、6(水・衛生)、8(経済成長と雇用)、10(不平等)の分野で活動している、という。世界の子ども達のうち、安全な水を飲めない子どもは6億6300万人、働かなければならない5歳~17歳の子どもは1億6800万人、戦争のなかで暮らす子どもは2億5000万人いる。ユニセフでは、例えば「村に井戸を一つ作れば、子どもが水汲みから解放され、学校に行ける。そして、病気に罹りにくくなる」。マラリア予防の蚊帳などを送るなど、悪循環を断つ活動を行なっているという。

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 また、カンボジア教育支援フロム佐賀は、1999年に「カンボジア日本友好学園」中学校建設、2002年に高校をもって中高一貫校を完成させた。現在、48名いる教師の給与補てんや年1回の教師のバスツアー、パナソニックより提供されたソ-ラーランタンを成績優秀な生徒や貧困度の高い家庭に貸し出しも行っている。

 パナソニックは、創業100周年を迎える2018年までに無電化地域に10万台のソーラーランタンを寄贈することを目指している。寄贈先は原則としてNPO/NGOや人道支援機関、国際機関などで、今までに22カ国、113の団体・機関に計8万3,666台を寄贈してきた。世界ではアジアやアフリカ諸国など発展途上国を中心に約12億人が電気を使えず、寄贈されたソーラーランタンは、子どもの学習や成人の識字教育、安全な出産や治療、所得創出など、夜間のさまざまな活動に有効に活用されている。

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 「愛未来」は、1997年からスリランカとパラオなどアジア・太平洋地域の人々との友好交流・自立支援に取り組んでいる。スリランカでは農産物直売所を作り、「酪農とミルクの里づくり」などを通して現金収入につなげた。また、パラオでは、美しい自然環境を守りながら、産業と観光を結びつけたエコツーリズム(生活文化体験村づくり)を支援している。

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 佐賀ユネスコ協会は、「戦争は人の心の中に生まれるものであるから心の中に平和のとりでを築こう」というユネスコ精神に基づき、国内、国際的支援事業を行っている。具体的には、①東日本大震災の被害を受けられた人の心の支援 ②(移動オープンクラス)県下の学校・団体を対象に国際理解講座をもつ(随時依頼に応じる) ③私の町のたからもの絵画展などを実施。

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 また、佐賀県国際交流協会(SPIRA)も4(教育)、8(経済成長と雇用)、10(不平等の是正)、16(平和)の分野でSDGsを推進している。具体的には、国際理解講座や多文化共生、語学講座、在住外国人の就職支援など。技能実習生など在住外国人に日本語を教えるボランティア団体の支援も行っている。佐賀県在住の外国人は、平成28年末現在5,140人となり、平成27年末の4,536人からの増加率は都道府県別で全国一の伸び率。そうした状況下、佐賀県民と在住外国人の円滑なコミュニケーションに尽力している。

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 経済社会問題に関する国際的な討議は、国境を越える多くの問題を解決するには富める国も貧しい国も利害が共通していることをますます反映するようになった。難民人口、組織犯罪、薬物の取引、エイズ、気候変動のような問題は、グローバルな問題であって、行動には調整が必要である。ある地域における慢性的な貧困と失業は、移住や社会の崩壊、紛争などを通して直ちに他の国々にも影響を及ぼす。同様に、グローバル経済の時代にあっては、一国の金融不安は直ちに他の国の市場に影響を与える。

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 一方、国内的には、東京や大阪、名古屋、福岡市など大都市と地方都市の極端に偏った人口、経済格差の問題がある。また、東日本大震災や熊本地震の被災地支援も十分とは言い難い。非政府組織(NGO)「セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン」の調査によると、経済的に困窮した状況にある東日本震災地の宮城県石巻市と岩手県山田町の計約400世帯のうち、震災6年後も家計が赤字だったのは約6割で、被災に伴う失職や自宅再建費の負担増などにより震災前の約3割から倍増したという。